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インタビュー:LIFE IS JOURNEY! 川内康行・真理

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世界中を旅して、訪れた国々で出会った素敵な商品を販売しているオンラインストア「LIFE IS JOURNEY!」。主宰の川内ご夫妻に旅の途中のアルゼンチンへSkypeを繋ぎ、お話を伺いました。たくさんの国を巡り、どのような暮らしに出会ってきたのでしょうか。終始笑い声の絶えない会話からは、旅で得た手応えと生きている歓びが感じられました。

そもそも世界一周旅行に出ようと決めた動機はなんでしょう。
川内真理(以下:真理):私は十代からおぼろげに思っていた夢でした。大学在学中にインドをはじめ東南アジアを旅行したのですが、そのときに世界のことをいろいろ知りたくなったんです。インドでは特に、価値観も生活スタイルも私が知っていたこととは違っていて、いままでの自分がどれだけ狭い世界の中で生きていたのかを思い知らされました。その時から日本に居たままで世界のことを知らないのはもったいないと思うようになりました。
川内康行(以下:康行):僕も同じく、自分が見ていないものが世界にまだまだあるんじゃないかという興味が募って、今に至っています。4年前に真理と一緒に行ったインドが僕のはじめての海外旅行だったのですが、経験したことが無いことばかりで衝撃でした。それまで海外には興味がありませんでした。

具体的にどのようなことが衝撃的だったのですか。
康行:バラナシというヒンドゥー教や仏教の聖地があるんですが、なんというか、死というものが日常の中に普通にあるところなんです。公共施設なのかわかりませんが「死を待つ家」というものがあって、そこでは老人が自分の死を、それこそ「待っている」場所なんです。それまで死を意識しながら生きるということが僕にはありませんでした。
真理:川を死体が流れていて、ガート(沐浴場)では死体が焼かれていて。でも、そういうものを見ても嫌な感じを一切受けなかったんです。死というものはもっとグロテスクなものかと思っていました。

そういった死生観にまつわる衝撃はインドを旅行した人たちからよく聞きますね。旅ということ全般だと「旅」にはどんな魅力があるのでしょうか。
真理:あくまで旅人目線ですが、最初に旅人としてデリーの空港に降り立ってからわけがわからない雑踏に踏み込んでいくときに、ここでもし私が何か事件に巻き込まれても、きっと誰も見つけてくれないだろうなと思ったんです。でも、右に行くのも左に行くのも自分の自由。自分で責任さえ負えば自由な世界だと。旅ってすごい自由だ!って感じたんです。

この世界一周旅行は、真理さんとかはご両親から反対をされたのではないですか。
真理:いろいろなところに旅行に行っていたので、ついに言い出したかって感じでした(笑)。結婚もしたので真面目に生活をしていくものだと思っていたと思うので、何かんがえてるの?とは言われました(笑)
康行:旅に出る直前まで、僕はこの旅に行くべきなのかどうなのかずっと迷っていたんです。仕事のことも生活のことも考えると不安だったけど、でも行きたいという欲求はあるし、真理も同意してくれているし、でも帰ってきてからどうなるんだろうだとか。でも、うちの親が「帰国して仕事がうまく決まらなかったり自分が思っていたようにならなくても、住む家だけはあるから気を大きくしていっておいで」って言ってくれたんです。このひと言はだいぶ心強かったです。
真理:せっかく旅に行くのならば、ただ行って帰ってくるのではなくて、見たもの、感じたものを人に伝えられるようにいろいろ吸収して帰ってきなさい、とも言ってくれました。

それはすごく頼もしいひと言でしたね。その言葉があって、LIFE IS JOURNEYという構想が生まれたのですか。
康行:僕たち二人の間では漠然と話はしていたんですけど、うちの親に言われたこともそうですし、いろんな人にLIFE IS JOURNEYの構想を話していくうちに背中を押されたという感じです。

webショップの立ち上げは出発前でしたっけ。
真理:出発してからです。ある程度、枠組みはつくっていましたけど。

そうして旅がはじまったわけですけど、実際に商品の仕入れで苦労されたことはありましたか。
真理:最初に買い付けをしたネパールでは、わりと順調に進みました。今grafさんで販売してもらっている手袋などは、それを販売しているお店が直接工場を運営していることもあって仕入れのお話がしやすかったです。
康行:つくっている人に会えないとこのプロジェクトは意味がないので、いい商品を見つけても、ただ買い付けるだけになるような仕入れ方はしていません。お店でいい商品を見つけても工場やつくり手にたどり付けないとこともあるで、そこは難しいところですね。

出会った商品にまつわるお話や印象的だったことは何かありますか。
康行:手袋や毛糸のスリッパをつくってくれている工場の支配人の方から聞いたことなんですが、ネパールでは旦那さんが嫁さんや子どもを置いて他の人のところにいってしまうことが多いそうで、シングルマザーとして働いている女性の方が多いそうです。その支配人がその工場をつくったのも、子どもの頃に父親が不在で苦労をされた経験があって、自分の住んでいる地域にいる同じ境遇の女性を助けるために、技術指導をしながら生活支援をしたかったからだそうです。そこでつくられているものがMother Hand Madeシリーズの商品です。
真理:例えば私たちが販売している商品をネパールのお土産物屋さんなどに卸すと、日本円で1円くらいしか払ってもらえないそうなんです。いくら物価が安い国だからとはいえ、それでは到底生活をしていくことはできないので、私たちが適正価格で商品を買うことで間接的ながらも支援をしていけたらな、と考えています。

デザインや柄などはお二人が指定しているのですか。
康行:そうですね、こちらから指定しています。
真理:ある程度、元になっているものはありますが、色や仕様などを指示させてもらいながらつくっています。

LIFE IS JOURNEYは世界の暮らしを追う旅だとも思うのですが、普段の自分たちの暮らしと比べて豊かさを感じた暮らしはありましたか。
真理:地域にもよりますけど、南米のパタゴニアやネパールのヒマラヤ地域などの自然が多いところで感じることなのですが、自然という大きな循環や時間の流れにうまく溶け込んだ生活を送っている人たちが居て、すごくうらやましく思いました。例えばチベットだと、ストーブの燃料がヤクの糞だったりするんですね。無駄がないというか、ゴミを出さずに自分たちの生活を環境に合わせている。自然を愛しているし、毎日見ているはずの山や花がある日常の風景にいつも感動していて。そんなことが日本でできるかはわからないですけど、そういうことにできるだけ近づいた生活をしていきたいと思いましたね。
康行:暮らしとはまた違うかもしれないですけど、時間のつかい方が豊かだということは、どこに行っても思いました。僕がサラリーマンをしていたからかもしれませんが、時間に追われているような感じは誰からも受けなかったですね。
真理:今を生きるって感覚ですかね。今を楽しんでこそ、という考え方が常にあるような印象です。仕事の時間がプライベートの時間を圧迫するような働き方、考え方はまずしていないですね。

そういう感覚はお二人が日本に戻ってきてから、どのように影響すると思いますか。暮らしや仕事に対しての考え方や、大切にしていきたいことも変わったのではないかと思うのですが。
真理:私はイタリアで思ったことなんですけど、イタリアの人って家族との時間をすごく大切にしているんです。親元を離れて暮らしていても週末には実家に帰るだとか。家族を大事に思うことは日本も一緒ですけど、もっと感覚的に一緒に過ごす時間というものを大事にしている印象があります。そういう時間は帰国してから意識的につくっていきたいと思いました。
康行:僕は「今」や「今日」という、一日一日に重きをおいていこうと考えるようになりました。やっぱり旅に出る前は先のことばかり考えていたので、今回の旅で見つけたことはそこもしれません。

お話を伺っていると、時間に対する感覚が変わったんですかね。すごく充実している印象を受けます。
真理:一日がすごく長いですね。でも特に朝早起きになったかというと、そうではないんですけど(笑)。今まですごく便利に暮らしていたんだなと思うのは、テレビもwifiもない、何もないところっていっぱいあるんです。キャンプをするときは特にそうで、トイレ以外にはシャワーもなかったりするので晩ご飯を食べたら何もすることがなくなるんです。でも、ぼーっと山を眺めているだけでもすごく満たされるし、突然なにかをひらめいたりもする(笑)。今まで、家電も含め想像以上に無駄なモノが多かったように思います。今帰ったら要らないものが家の中にたくさんありそうな気がしますね。
康行:都会は都会で好きなんですけど、自然の中に身を置いている時間が心地よかったですね。

間もなく帰国されますが、今回の旅を振り返ってみていかがだったでしょうか。次はどんな旅に出たいと思いますか。
真理:次はこの旅で出会った友だちをたどる旅をしたいです。いろいろな国を訪れて、たくさんの人たちに会って、いろんな国の人たちと友だちになりました。みんな陽気でおもしろいし、どこに行っても差別的なことは受けませんでした。最初はアジア人以外は怖いなって思っていたんですけど、会って話をしてみるとフレンドリーだし、気にならなくなっていきました。国も人種もいろいろあるけど、そうではなくて人として接することができるようになったのはうれしいです。
康行:日本にいても気の合う人、合わない人がいるように、海外でもそれはあったかもしれません。でもこの国の人だから嫌だということは全くないです。いい人たちにたくさん巡り会って、今までニュースや人づてでしか知らなかった海外のことが身近に体験できて、ためになったことがとても多いです。人に接することにも海外に行くことに対しても壁がなくなったので、日本に帰って、急にアルゼンチンに行かなければならなくなっても、ぜんぜん行けます。
真理:アルゼンチンに行くのも、熊本に行くのも同じ感覚になりましたね(笑)

旅を通じて、自然と寄り添っていくことや時間というもの、人との関わりというものに、これからの暮らしについてを考えていく上での重要なポイントがあるようですね。ありがとうございました。帰国したらまたいろいろお話を聞かせてください。
康行:はい、ぜひ。
真理:たのしみにしています。

LIFE IS JOURNEY
川内康行・真理による世界一周旅行プロジェクトでありwebショップ。2013年5月よりカンボジアを皮切りに、2013年12月現在20カ国以上を巡る。旅をしながら各国の暮らしと人の温もりが伝わる商品を仕入れ販売している。
http://www.lifeisjourney.org/

世界で見つけた、暮らしと旅のお店「LIFE IS JOURNEY!」
場所 / graf(大阪市北区中之島4-1-9 graf studio 1F)
期間 / 開催中
営業時間 / 11:00 – 19:00(ショップ営業時間に準ずる)
月曜日定休、祝日の場合は営業・翌日休
お問い合わせ / mail. shop@graf-d3.com tel. 06-6459-2100