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インタビュー:arie:chroma 岡野真理絵

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ただいま開催中の展示会「arie:chromaの 陶器でつくったきのこ展」。陶器を素材に作品づくりをしている作家の岡野真理絵さんに、これまでの活動についてお話を伺いながら、作品づくりへの想いや考えに触れてみたいと思います。

− 作家活動をはじめた経緯やきっかけを教えていただけますか。
陶器で制作をはじめたのは大学の二回生くらいからです。その頃から当時作家として活動してらっしゃった方たちと一緒に、巡回展に出展するなどの活動をしていました。大学を卒業して就職を機に制作は一度辞めたのですが、将来的にはまたいつかはじめようと思っていました。就職して、仕事にのめり込めたらずっとそこで働いてもよかったのですが、私にはそうはなれなかったんです。退職したときに少し体調を崩したこともあって、何もしていない時期があったんですけど、何もしないのであれば少しでも制作をはじめようと思い、再び作品づくりをはじめました。

− 作品は、はじめから今のようなアクセサリーをつくっていたのですか。
最初につくったのはボタンでした。ボタンにした理由は、大学の課題で制作をするときに「陶器のみで成り立つものをつくる」という考えが自分の中にあったからです。おもしろい形のものでも穴が空くとボタンになるじゃないですか。そういう感覚でわりと自由な形に成形したものに穴をあけていろいろつくっていました。ブローチなどのアクセサリーは、わりとすぐ、そのボタン達から派生していって、つくられていきました。

− 自然をモチーフにしていることには何か理由があるのですか。
まず第一に、花がとても好きなんです。育てていても結構枯らすんですけど(笑)でもうまく育てられたとしても、ひとつの花が咲いている期間って短いですよね。その短い時間に人が花を見て「美しい!」と感じる魅力をそのまま閉じ込めたい、その瞬間に捉えたものを形にしたいという思いがあります。そこが植物にこだわる理由かもしれません。動物の形も面白いと思うのですが、植物ほどには興味が湧かなくて。造形というか、ラインとか、成長の過程も含めて変化がおもしろい植物には惹かれるものがあります。

− 今回はキノコがモチーフになりましたが制作をしてみていかがでしたか。
キノコは自分の中に常にある作品のイメージが一本の道だとすると、そこから少し派生した脇道のような感じでした。友だちにキノコが好きな人がいたことがきっかけで、興味を持つようになって制作をしてみたのですが、なかなか奥が深かったです。これまでのシリーズで既に8点ほど制作していたのですが、今回は、そこからさらに点数も増やし、30種類以上つくりました。いつも一つのモチーフをこれほど大量につくることはしないので、少し大変でしたが(笑)。普段、つくるものを決めたら先ず絵を描いて、その絵の状態でリアリティを出してから、陶器にどう置き換えるかを考えます。ですが、今回は絵の時点でリアリティを追求するという作業をしなかったものもあり、写真などから描いたラフ画から、直接どう陶器の状態で表現するかを考えたので、これまで作品をつくってきたプロセスのセオリーを踏まずに制作をしたのもが多くありました。つくってみて、ここにもう一色入れておけばよかったかな、とか思ったりすることもありましたが、手間の数、イコール「よいもの」が出来るというわけでもないということを発見しつつ、試行錯誤したことがおもしろかったです。

− 陶器で作品をつくっていることに理由などはありますか。
私は、もともとはファッションに興味があったんです。中学生のときに洋服を祖母に教えてもらいながら初めてつくったのですが、それがすごくたのしくて。進路を決めるときも、普通の高校には行きたくないなと思って、美術の学べる高校へ行き、3年間ファッションアートについて学びました。でも実は私、立体認識が乏しいというか(笑)モノを平面的に見がちなんですね。ファッションは製図して布を切り取ってというところまでは平面の作業なのですが、最後の縫い合わせるところで立体になる。将来的にファッションに関することを仕事にしたいと考えるのであれば、このままでは何かまずいんじゃないか?と、考えたのです。そこで自分に欠けている能力を補おうという思いもあって、立体を学ぼうとしていたところ、陶芸に出会ったというか。私の通っていた高校には陶芸科もあったので、学内の人の作品を見たりすることで、陶器という素材をわりと身近に感じていました。かなり大人になるまで、絵を描くことと、服を作ること、陶器でアクセサリーをつくることは、自分の中で同じくらい好きなことだったんですが、ある日「でも、じゃあ、自分はどれを選ぶんだろう?」と悩んだことがありました。結局、陶器を選んだ理由は、デザインから成形、アクセサリーとしての完成までを、最初から最後まで自分一人で制作出来る素材だったからなのだと思います。

− 誰かと協同したり、工場に発注してものづくりをすることは考えたりしますか。
制作するものを生産ラインに乗せたいということではないのですが、量産してプロダクトをつくることについてもう少し知ってみたいなと思っています。自分が高校で教わったファッションアートというのも、デザインしたものや発想をいかにして形にするかという実習をしていましたし、大学も陶芸でしたが工芸色がそれほどに強くない校風だったので、周りにもオブジェや用途のないものをつくっている人が多かったんです。なので、私もその中で、何の違和感もなく同じような感覚でものをつくっていました。私の場合はそれが身に付けられるものだった、という感覚ですね。美術というものを学びはじめてから、ずっとそういった環境の中で制作をしてきたので、本当に最近まで、プロダクト的な方法でアクセサリーをつくるという概念が自分にはありませんでした。カルチャーショックとまではいかないですけど。自分がそういうアプローチをしてこなかったので、今、改めて自分にとっての作品のあり方や作品のつくり方について考えています。

− これから何かしたいことや考えていることはありますか。
私にとって、アクセサリーを身に付けるという行為は、誰かが持っている美的な感覚やセンスを自分の中に取り入れるという意識の行為なので、あらゆるモノに対して、自分がつくったものではなく、他人がつくった素敵なモノを持ちたいという気持ちがあります。よく考えると自分が身に付けるという点ではプロダクト的アプローチのアクセサリーはすごく好きだし、手作業でやってるからいい、とか、一点物が好き、という線引きは特にありません。ただ、これまでの自分にとって、全てを手作業で行うということに意味があったから、そうしているだけなんです。陶器という素材を選んでいるのも、素材自体の魅力もありますが、素材選びから成形から、なにもかも自分ですることができるというところに最大の魅力を感じていることが理由だったので、どれかひとつの工程を切り離して考えるということは今まで考えてきませんでした。でも今、少し変化が生まれ初めている感じがしていて、もうちょっと掘り下げて勉強して、これから自分がどうしていきたいか、何を残して何を切り取るのか、またそれがどういう表現になるのか、この活動をどうやって続けていくかをしっかり考えていきたいなと思っています。

岡野真理絵(おかのまりえ)
1984年、京都生まれ。京都市立銅駝美術工芸高等学校ファッションアート科、京都精華大学芸術学部陶芸科卒業。高校で服飾を学んだ後、大学では陶芸を専攻。大学在学中に陶器によるボタンやアクセサリーのブランド「arie:chroma」を立ち上げる。shopでの販売や、他の作家との合同展示会などの活動をするが、大学卒業後は一旦活動を休止し、ジュエリーの販売・デザインの仕事を経て2010年7月に活動を再開させる。現在は、独自のアクセサリーを制作し、展覧会や展示会をおこなう一方、コラボレーション商品やオーダー商品なども制作している。
http://ariechroma.com

arie:chroma の 陶器でつくったきのこ展
会期 / 開催中 – 11月24日(日)
場所 / graf(大阪市北区中之島4-1-9 graf studio 1F)
時間 / 11:00 – 19:00
お問合せ / graf(tel. 06-6459-2100  mail. shop@graf-d3.com)